ありがとう。

ありがとう。


新たな命に、心からの感謝を…。



◆芽吹きの時◆




「綱吉、」

「あ…恭弥さん。雛と翼は?」

「今、寝たよ…」



母様が雛と翼を産んでから、半年が経った。
最初の頃は寝るか、泣くかしかしていなかった2人も今はたどたどしく『あー』とか『うー』とか、取り留めのない『単語』を話してる。

昔の僕も、あんな感じだったって母様は笑いながら言ってたけど…
父様はもう少しマシだったと言って苦笑い。



「恭弥さん、蒼人構ってあげて下さいよ」



ふいに、母様が声を上げる。
あぁもう父様、解ってるからそんなに寂しそうな顔しないで。


「母様、僕は雛達を見てるから、今は父様と一緒に居てあげて?」

「…え?…でも蒼人…」

「大丈夫だよ、それより母様は退院したばかりなんだから…無理しちゃ駄目だよ?」



にこり、と笑って部屋を後にする。
双子と一緒にお昼寝でもしていよう。


(ちゃんと、笑えてたかな…)


母様の超直感は凄いから、きっと僕の内心は感づかれてるんだろうな…。







「……随分、良い子に育ったね…」

「………………恭弥さん、」


蒼人が去った後、恭弥さんがぽつりと呟く。


「…蒼人…私達に気を使わなくてもいいのに…」


確かに、良い子に育ったとは思う。
素直だし思いやりもある。
だけど、その分『我が儘』を言わない子。


「…恭弥さんも…蒼人構ってあげて下さいよ…」

「構ってるよ、蒼人だって雛だって翼だって…みんな愛してる…」

「恭弥さん…」

「だけどね、綱吉。僕が一番愛してるのは君なんだよ…」



強い力で私を抱き締めて、耳元で囁いてくる恭弥さん。
それだけで腰が抜けそうになる。
この人の美声はそれだけで凶器だ。



「君と子供を思ってずっと入院させてたけど…もう限界だよ、」


実を言うと、私は1週間前に退院したばかり。
産後の状態は至って普通だったのだけど…一応私はマフィアのボスだ。
あまり動けない状態で屋敷に居て、もし抗戦が起こったら私は何も出来ない。
だからこその決断。


「……私も、寂しかった…」


いくら子供が好きと言っても、私だって一番愛しているのは恭弥さんだし。
今まであまり会えなかったぶん、甘えるように恭弥さんの首に腕を絡める。
ぎゅぅ…と抱きついて、子供っぽいとは思ったけど恭弥さんの広い胸板に頬摺りしてみる。


「甘えてる…?」

「……一応、」

「愛してるよ、綱吉」

「私も…愛してます…」


自然と重なる互いの唇。
触れるだけのキスなんて、本当に久しぶりかもしれない…。




大切な大切な私達の宝物。
それはもちろん子ども達。
愛して止まない大切な子達だけど…。
でも、『恋愛感情』として一番愛しているのは、夫である恭弥さん。

きっとそれは、いつまで経っても…変わらない。






「愛してます、恭弥さん」
「愛してるよ、綱吉」














「……父様はホント…母様の事大好きだよね…」


すやすやと穏やかな寝息をたてている僕の妹と弟の髪を、出来るだけ優しい手つきで梳く。
さらさらと流れ落ちる絹糸のような髪。
生まれたばかりの命は、本当に綺麗。


「…でも…母様も父様も、ちゃんと僕達の事、大切にしてくれてる…」


穏やかな笑顔で、僕を抱き締めてくれる母様の温もりも。
大きな手で、僕の頭を優しく撫でてくれる父様の優しさも。
それは全て僕に向けられたものだから。


「君たちも、いっぱい愛されるよ、その為に…産まれてきたんだから…」



父様と母様が僕を大切にしてくれたように、僕もこの子達を大切にしてあげたい。
僕の大切な、兄弟だから…。



「……僕が、守るから…」



沢山たくさん、愛してくれる両親。
優しいファミリーの人達。

そんな人達に祝われて、望まれて産まれてきた君達は、絶対幸せになるよ。



「産まれてきてくれてありがとう…」









*END*





長男:雲雀蒼人(ヒバリ アオト)(9)
長女:雲雀雛(ヒバリ ヒナ)(1)
次男:雲雀翼(ヒバリ ツバサ)(1)
ですね。
ヒナツナ大好きなんです♪
フリーってあったから、強奪してきちゃったvv